新型コロナに感染したときのことを想定して、にわかに薬品の備蓄に走る市民が増えたという。目を引くのは、薬品に混じって「黄桃」缶詰までもが“争奪戦”のターゲットとなっていることだ。
▶東北人は黄桃が“命”!?
黄桃の缶詰がいま人気を博していると聞いて首をひねる中国人も少なくない。もし備蓄に走っている人を見かけたら、東北地方の出身である可能性が高いかも知れないーー!?。
中国東北地方では、物資が不足していた時代からフルーツ缶詰がもてはやされてきたという。砂糖が高価で、物流インフラの事情で新鮮な果物を入手するのが困難だった時代、フルーツ缶詰は保存が容易で水分や砂糖、はたまたビタミンCの補給にはもってこいの食品だったわけだ。
ただ、当初歓迎されたのはリンゴやオレンジの缶詰であり、黄桃の缶詰が脚光を浴びるようになったのは後になってからのようだ。中国語の「桃(táo)」は、「逃(táo)」と発音が同じであり、禍いから免れるという意味の「逃过一劫(táo guò yī jié|惨事を免れる)」という言葉に通じるとされた。やがて、東地地方では黄桃の缶詰が大晦日の食卓の一部にもなっていく。
▶単なる“プラシーボ”効果か
とはいえ、果たして黄桃の缶詰に確かな効能があるかといえば、残念ながら根拠は薄い。新型コロナウイルス感染症対策で黄桃の缶詰を家庭で備蓄しても、新型コロナ対策としての意義は乏しいといえそうだ。
黄桃の缶詰は確かに栄養価が高く、食欲を増進させる効果が期待できる。ただし、それはあくまで甘い「プラシーボ」効果に過ぎない。病気の症状を緩和してくれるものではなく、せきがひどいときはむしろ逆効果。症状を重くさせてしまうリスクもある。こうしたときには摂取を避けるのが妥当だと注意を促す声は少なくない。