中国で「和食」チェーンが振るわないという。2022年上半年、上海吉野家が純損益534万9400元を計上した一方、味千が公表した2022年第3四半期の決算報告によると売上高はマイナス11.1%と減速、上半期に店舗を68店減らしていたこともわかった。また、吉野家傘下の花丸うどんが中国市場を全面撤退すると発表したことも注目された。
▶出前でも劣勢?
新型コロナによって外食チェーンの業績は多大な打撃を受けたが、中でも“和食”ファストフードの業績不振を指摘する声が中国ネットで喧しい。その背景としてまず指摘されるのが価格だ。一般的な和食ファストフードは1食あたり30、40元ほど。多くの消費者にとってやや高値水準になる。
2番目には単一的な味覚だ。ラーメンや牛丼を主流とする和食ファストフードは選択肢に乏しい。バラエティーに富んだ“丼もの”を取り揃えた中華ブランドと比べると見劣りするというのだ。また、出前市場で和食の調理スピードにはアドバンテージがない。それゆえ、アップグレードを続ける消費者のニーズへの対応が(和食ファストフードは)不十分で、旧態依然としたスタイルに固執していると警鐘を鳴らす指摘が少なくない。
▶丸亀製麺が再挑戦
こうした中、今後の動向に熱い視線が注がれているのが丸亀製麺だ。同ブランドを運営するトリドールホールディングスが11月30日に「グローバル戦略発表会」を開き、中国本土で数百店舗を開設するとした目標を明らかにしている。
同ブランドが現在中国で展開する店舗はゼロ。2012年に中国進出を果たし、約50店舗を展開するまで成長したが、新型コロナの影響による営業不振や原材料価格の高騰等を背景に、2022年8月、すべての店舗を閉鎖した。それゆえ、丸亀製麺が青写真として描く中国市場での多店舗展開は、文字通り捲土重来とも言うべき再挑戦となる。
▶消費者ニーズも多元化
2021年第1四半期のデータによると、中国国内にあるファストフード店は110万余店を数える。そのうち最も多くの比率を占めているのが中華で、全体の86%に当たる95万1000店にのぼるという。したがって、中国消費者が和食ファストフードに三行半をつきつけたというよりも、消費者にとっての選択の幅が大きく広がっているというのが現状だ。
したがって、和食ファストフードに対する消費者ニーズもまた多様なものになってきている。業界アナリストで凌燕諮詢首席コンサルタントの林岳氏は、ファストフードのモデルは必ずしも日本料理がオリジナリティーとしてもつ飲食文化や“匠”の精神を体現しているものではないとする。「和食の真髄の体現、さらにイノベーションと食体験の環境に新風を吹き込めるかどうかで、和食ファストフードは依然として生存空間を確保できる」(林氏)。